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「中国の不思議な役人」「ボレロ」
2008年2月29日 東京文化会館 大ホール
「中国の不思議な役人」「ボレロ」
閏年で、加えて30年来の吉祥日というこの日が公演日であるところも、1つの演出かもしれない。約9ヶ月ぶりの公演。演目も、カオス独特の退廃と神聖の両方を同時に持って来たように思う。「ボレロ」は、同ホールでは2回目。迫力は今回の方が圧倒的に上で、舞台全体が明るく感じた。

手塚治虫の「ブラックジャック」で、心臓病の番長が不良グループに因縁を付けられた時、最期に自分の前に薔薇の花束でラインを引いて息絶える話があったと思う。「ボレロ」のオープニングでふと思い出した。耽美な世界を全面に出すカオスの演出で、赤い薔薇ほど似合う花は他にないが、それだけではない、薔薇はどこか生き物に共通する遺伝子を持っている花のように思う。毎回、舞台のために真摯に生きるカオスダンサーたちにふさわしい。ダンスを囲む赤い円陣は、皺があるためか大きな脈のようにも太い幹のようにも見える。この「いろんなものに見える」という演出は、いつまでもあって欲しいと思う。もうじき桜の季節(更新される頃には咲いているかもしれない)、その太い幹を見る時、布地を染める色素は幹の方にある事を思い出す。目を奪う美しさを持つ無数の花びらにその力はない。技術以上に、芯の太い精神を持っている事がまず大事であることを、白河さんを始めとするダンサー陣のダンスを見ていて思い出す。ダンスを見て、薔薇の威力を感じ、桜を思い出し、人の精神力を思う。

「中国の不思議な役人」は、私の大好きなバルトークの音楽。バルトークは、その作品の奥にハンガリー民謡が深く根付いていることを思いながら聴くと、意外に聴きやすい音楽であることに気付く。ここでは関係ないが、彼のピアノ・コンチェルトは本当に素晴らしい。ぜひお勧めする。演目のストーリーは、カオスには本当にぴったりで、所々に「春の祭典」を思わせるダンサーの掛け合いも見られた。美人局役の少女たちを相手に、白河さんは終始男役だったが、そのままの衣装で3人を演じていることになる。ここで敢えて強気の発言に出てみる。「カオスの舞台に男性出演者は必要ない」。終盤でスッポンみたいな柵(表現が難しい、落ちる時に本当にスッポンって音がしてたので)が、槍のように天井から振ってくるなど、「あと少し立ち位置がずれてたらどうするんですか」と叫びたくなるような、危ない仕掛けも健在。高い位置での白河さんの逆さずりも、手に汗握る演出。それがまたとても長い。なかなか降りて来ない。「降りて来させない」人がいるんでしょうね……ひとり。そして、誰もが最も印象強く思っただろう、赤い染料。「なんじゃこりゃあ」。これほど強い印象の残る小道具は、カオスでは珍しいと思った。即物的というか、演劇的とうか、こういう演出をあまり見た事がないように思うので、新鮮だった。そういえば、背景に巨大なギターの弦みたいなものが見えてたけれど、そこに書かれていた「001、253、818…」らしき数字にも、きっと何かの意味があるように思う。「白夜」の時の携帯電話に打ち込まれていた数字のように。大島さんの仕掛ける様々な暗号、ぜひ探してみるべし。

あと…まったく感想に関係ないですが、よく来訪していただいている方々へ。今後当分の間、このコーナーくらいしか更新がないと思われます。あんまり動かないサイトになってしまい、本当にごめんなさい。こんな状況ですが、どうぞよろしくお願い申し上げます。





 
 

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